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観光人材育成カリキュラム検討事業シンポジウムを開催しました

2012/3/12

  平成24年3月12日(月)、伝国の杜(米沢市)にて観光人材育成カリキュラム検討事業シンポジウム『天地人 山形観光に「天の時、地の利、人の和」は?』を開催しました。

 このシンポジウムは山形県と山形大学工学部が主催したもので、東日本大震災から1年を迎えるにあたり、観光地域づくりや人材育成への理解を深め、骨太で豊かな観光地域の基盤づくりを目指そうと開いたものです。シンポジウムには観光業関係者だけでなく、学生や一般の方々など約300名が参加しました。

 第1部では本保芳明首都大学東京教授(前観光庁長官)が基調講演し、豊富な統計データを用いながら、観光がおかれている状況や地域間競争の激化について述べました。観光地域づくりの成功例として湯布院の事例をあげ、人の和を重んじる地域ぐるみの取り組みと、地域が利益を共有できるしくみづくりが大切だとしました。また、NHK大河ドラマ「天地人」の脚本家、小松江里子氏からの話題提供では、直江兼続の時代も人材育成は重要な課題だったことに触れ、「観光に来る人は、その土地の風物・産物・人物を体験しに来るので、観光においても“天・地・人”をそろえ、山形の地域資源を活かした観光地域づくりと同時に、人づくりを進めていくことも重要」と述べました。さらに元山形県副知事の後藤靖子氏、由布院玉の湯社長の桑野和泉氏を交えて行われたトークセッションでは、それぞれの経験を踏まえながら地域の人の和やリーダーの重要性、山形の魅力について意見が交わされました。

 第2部では、山形デスティネーション・マーケティング共同研究の報告として、首都大学東京の矢ケ崎紀子特任准教授が講演しました。矢ケ崎紀子特任准教授は「観光目的地としての地域ブランドの形成(旅行者を呼んでくる力)」、「リピーター・マネジメント(旅行者を満足させ再訪問を促す力)」、「エリア内の事業者の意識と行動の改革」の3つが観光地域づくりのポイントとであるし、その3つが上手く機能している例として湯布院を紹介。今後、米沢・会津観光圏が発展していくには、明確なターゲット設定や米沢・会津を訴求できる統一した地域ブランドの形成が必要であると述べました。講演の後、本保教授、山形大学の高橋幸司教授と、フロアを交えてのトークセッションが行われ、中国人観光客の誘致や、経営工学、生産管理論などの観光分野への応用の可能性について議論が繰り広げられました。

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