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留学生・日本人学生による被災地(石巻)ボランティアを実施しました

2013/1/9

 平成24年12月22日から23日にかけて、山形大学工学部国際交流センターが主催する形で、宮城県石巻市において留学生・日本人学生によるボランティア活動を実施しました。今回のボランティア活動は、山形大学が本年度から開始した文部科学省の「留学生交流拠点整備事業」の一環として行われ、留学生12名、日本人学生18名、教職員・関係者6名の合計36名が参加しました(山形大学と米沢女子短期大学の学生が参加)。

 本企画は、来るべく多文化共生時代に備え、異文化コミュニケーション能力や語学力を高めるとともに、ボランティア作業やボランティア養成講座に参加することで、自主的に行動できる力と公益力を身に付けることを目的としています。

 事前オリエンテーションとテキスト学習を行ったうえで、一行は宮城県石巻市に向かいました。石巻市に到着後、水産加工場において、機材・備品・工場の洗浄作業を留学生と日本人学生が共同で実施しました。ボランティア作業を行った後、ご自身も被災をされた高橋徳治商店の社長である高橋英雄氏より直接、被災時の状況と現在の復旧・復興の状況をお聞きしました。その後、災害支援団体である「ボランティア山形」が、ボランティア養成講座を実施しました。この講座では、災害時におけるボランティア活動の考え方と方法について説明があった後、それぞれが出された課題(直下型地震発生時の緊急対応)について議論・討論を行って発表し、災害支援経験が豊富なボランティア山形のメンバーが解説を行いました。最後に、石巻市でお亡くなりなった方々へ全員で黙祷を捧げました。

 23日は朝から東松島市にある仮設住宅地に移動し、自治会長のご夫妻から仮設住宅での生活について説明を受け、質疑応答を行いました。住民主体で進めてきた自治会運営、プライバシーや住居設備の問題点、高齢者対応などについて説明を受けました。その後、一行はバスで石巻市内を一巡して、被災状況をつぶさに視察しました。前日の講演者である高橋氏がバスに同乗し、当時の災害の状況について詳細な説明を受けました。想定をはるかに超える津波、進まない瓦礫撤去、放置されたままの被災家屋の状況、避難された方々の生活状況などについて説明を受け、災害の恐ろしさと迅速な対応・行動が重要であることを理解しました。実際に被災地を歩いて自分の目で被災現状を確かめることで、認識をより一層、深めました。

 一連のボランティア活動と研修を終えた後、帰路のバスのなか今回体験したことについて全員が発表を行いました。実際にテレビや新聞で見聞きすることと大きく異なる状況を知れた、被災した方々から生の声を聴けて理解が深まった、被災者支援のために引き続きボランティア活動に参加したい、東日本大震災を風化させてはならない、日本人と留学生の間でざっくばらんに意見交換でき互いを認識できた、今回の経験をこれからの研究や人生に活かしたいなど、様々な感想が寄せられました。

 山形大学では、これからも「留学生交流拠点整備事業」に取り組みながら、日本人学生と留学生の間のコミュニケーションの場を様々な形で設け、同時に社会環境変動に柔軟に対応できる実践型の人材育成に取り組んでいきます。

留学生と日本人学生がペアとなって移動

日本人学生と留学生の共同によるボランティア作業

被災者である高橋氏からの説明

被災地(大曲地区)の視察

活動終了時の全体写真

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