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大学院理工学研究科 古川英光 教授(機械システム工学)が「ナイスステップな研究者」に選ばれました

2013/12/25

 2005年から、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)で選定している、科学技術の振興・普及において顕著な貢献をした研究者である「ナイスステップな研究者」に山形大学大学院 理工学研究科機械システム工学分野 古川英光 教授が選ばれました。ナイスステップな研究者という名称は「ナイス」と「ステップ」(飛躍)を組み合わせ、NISTEPにからめたものです。2013年は、9組10名が選ばれました。
 受賞内容は「産学連携による世界最先端のゲル材3Dプリンターの開発」です。古川教授は、東京の精密加工会社と共同で、液体材料を光で固めて造形するバスタブ型の3Dゲルプリンター(ゲル造形技術実証装置)を開発しました。医療分野、美容・食品分野などへの応用が期待されています(図1)。さらに、軟骨などの再生医療や人工血管、脳動脈瘤手術の検証モデルなど、医療分野におけるゲル素材の可能性を追求し、高強度ゲルの開発などで実績をあげました。また、ゲル素材を普及させるために必要な、製造及び評価装置の開発に貢献しました。ゲル専用のオリジナル工学解析装置(走査型顕微光散乱、Scanning Micro scopic Light Scattering:SMILS)を開発。レーザー光を微量の試料に照射し、その散乱光に適切な統計処理を行うことにより不均一な構造を持つ試料でも、分子網目サイズ分布を非破壊で簡便かつ定量的に求めることが可能となりました。加えてゲルの内部構造を3Dスキャンする装置のプロトタイプも開発しました。 また、サンアロー株式会社と連携して、ゲル製造装置の開発を行い、ゲル前駆体を粉末化した後、光ファイバにより導光した紫外線(UV)レーザーにて局所的にUV架橋することにより、金型不要で高強度ゲルを自由な形状に製作する新たな技術の開発に成功しました(図2)。現在、このゲル造形技術実証装置(3Dゲルプリンター、Easy Realizer for Soft and Wet Industrial Materials:SWIM-ER)を活用し、手術前検証用臓器モデル、研究用人工血管、細胞培養用足場の商品化が計画されています。 これらの開発成果を分かりやすく伝えるため地元高校や地域との連携活動なども積極的に行っています。

古川英光教授

図1

図2

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