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工学部だより
2022年

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熊木治郎教授が高分子科学功績賞を受賞

2022/6/17

熊木治郎教授(有機材料システム専攻/高分子物性)が、高分子学会の2021年度高分子科学功績賞を受賞しました。これは、多年にわたり高分子の基礎または応用科学の発展のため、顕著な業績を挙げた者に授与されるもので、熊木教授は原子間力顕微鏡を用いて、合成高分子の分子像を世界で初めて明確に観察することに成功したことをはじめ、高分子結晶、らせん高分子等の構造を分子レベルで観察することにも成功し、この分野を開拓、先導してきた業績が評価されたものです。最近では、高分子の結晶化過程を分子レベルで世界で初めて観察することにも成功しています。原子間力顕微鏡は、分子・原子分解能を持つ顕微鏡ですが、柔らかい高分子材料を観察することは困難でした。熊木教授は、観察に適した材料として、水面上に高分子鎖を分子鎖の厚みで展開した単分子膜を基板に移しとった2次元超薄膜を用いることで一連の観察に成功しました。

高分子材料は、繊維、フィルム、プラスチック、自動車、電気電子、医療材料等として今日無くてはならない材料ですが、一般に、分子量の大きな長いひも状の分子であり、多様な構造を取るため、今日でも不明な点が多く存在します。高分子材料の構造を分子鎖レベルで直接観察可能になったことにより、高分子材料の理解が深まり、さらなる高性能化に寄与するものと期待されます。

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